Friday, November 16, 2007

倹約おばあちゃんド~ンと10億円寄付…故郷の南足柄市に

 10億円どーん。神奈川県大磯町の横溝千鶴子さんが88歳の誕生日を迎えた16日、生まれ育った同県南足柄市に10億円を現金で寄付した。横溝さんは1999年にも大磯町に5億円を寄付し、障害者福祉施設の設立に貢献。「私は宝石なんかいらない。子供たちが宝です」。これまでタクシーには乗らず、外食ですら一度もしたことがないという横溝さん。「でも節約とケチとは違うんですよ」。そこには独自の蓄財哲学があるようだ。

 市役所3階の会議室にピラミッド状に積み上げられた10億円は、1000万円の束が100個で重さは約100キロ。市の本年度一般会計予算の6・7%、教育費の約53%に相当する。

 横溝さんは、旧南足柄村の出身。教育者だった両親のもとで育った。戦後、高校教諭などを務めた後、夫(故人)と調理場設備関係の会社を興し成功。「お金をためては土地を買った」という。今回の10億円は東京・赤坂の土地を山脇学園に売って捻出(ねんしゅつ)した。

 「四十数年前、米寿のこの日に10億円を贈ろうと目標を立て節約してきた。ふるさとに恩返しできたのは人生最大の幸せです。子供たちの教育のため、命ある限り努力を続けたい」と穏やかな笑みを浮かべた。

 南足柄市では寄付金で横溝さんの名前を冠した基金を設立。「退廃している子供たちの教育のため」(横溝さん)に毎年の利息2500万円から学校や生徒に賞金を出すという。「礼儀などきちっとしたクラスには『努力賞』。スポーツで生徒が1等賞や国体に出るようなことになれば『千鶴子賞』で個性を伸ばす。やはり賞金は励みになりますから」

 この日、銀行の現金輸送車を使ってまで札束ピラミッドを持ち込んだのも「お金の大切さを分かってもらいたかったし、小切手より現金の方がうれしいでしょ」というのが理由だ。

 99年にも大磯町に5億円を寄付し、障害者用の福祉施設「横溝千鶴子記念障害福祉センターすばる」を設立。学校法人鶴川学園などにも多額の寄付をしてきた。その金銭哲学は徹底している。

 「余分なものは持たずに人のために使う」客が来ると部屋を明るくし茶菓子を振る舞ってもてなすが、一人のときは使わない家具のコンセントをすべて抜く。風呂のお湯も捨てずトイレを流すのに使う。これまでタクシーに乗ったことはなく、一度も外食をしたことがないという。「外食で金を使うなら良い食材を買って自分で作る。おかげで病院に行ったこともありません」。高齢にもかかわらず背筋は真っすぐ。シャキシャキと歩く。

 5億円の寄付が報道されたときには「今、首くくる寸前です…」などと無心の電話が殺到したという。「『80の老人に頼るのか!』と怒ってやった」。自分で働ける人間には厳しい。子供のいない横溝さんには、親せきはいるが「『私に遺産はないよ』と言ってある。でももし子供がいても同じことをしますよ」

 今後も学校の教師を鍛える"横溝塾"や母子センターなども設立予定で「自分の葬式代と医療費以外は残しません」。

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